自動車検査員とは？受験資格と試験内容の紹介

自動車検査員
「自動車検査員」という資格をご存知でしょうか。この資格を持っていると、車検の検査で最終チェックを行えるような立場になります。自動車検査員は国家資格であるため、非常に社会的な価値が高く、業務の幅も広がります。今回は、自動車検査員の仕事、資格の取得方法などについて詳しくご紹介します。

自動車検査員の仕事内容

まず、自動車検査員の資格とは何かということと、業務内容についてご紹介します。

自動車検査員資格とは？

自動車検査員資格とは、自動車の整備工場等で整備後の検査や車検を通す検査を行うために必要で、主に整備の正確性や不備がないかどうか、国の基準を満たしているかどうかを検査し判断をするという仕事のための資格です。自動車検査員は、みなし公務員として扱われるため、刑罰に関しても公務員と同様に扱われます。

自動車検査員の業務内容

自動車検査員の主な業務内容は、以下の通りです。・車検の保管基準の適合性の検査と判断の作業 ・車検等の基準適合の証明書類の作成と確保・工場等の検査指導や監督業務・整備工場等の検査施設の管理・整備関連の法令の情報や知識の把握

基本的には、車の安全に関する知識を有する者として、車検場で検査を行う業務を行います。整備士が整備をした車が国の基準に適合しているかどうか、その車を安全に走らせることができるかどうかということを最終的にチェックする仕事です。このチェックする作業のことを「完成検査」といいます。
また、整備工場によっては、整備士としての業務も含まれることが多くあります。ただし、検査員は自分が整備した自動車や車両を検査することはできないため、整備と検査を一人で行うことは出来ません。

自動車検査員の資格取得条件

ここからは自動車検査員の資格を取るために必要な条件についてご紹介します。

自動車検査員の資格取得の流れ

自動車検査員の資格を取るためには、まず各都道府県で行っている自動車検査員教習の受講をしなくてはなりません。教習の受講が終わったら修了試験を受験し、それに合格をすると資格を取得することが出来ます。

自動車検査員教習の受講資格

自動車検査員教習を受講するには、以下の全ての条件を満たす必要があります。・整備士主任者として１年以上の実務経験・直近の整備士主任研修を受講していること ・勤務先が民間車検場で「指定整備工場」とされている、又はその指定をうけようとしていること

整備士主任者になるには整備士２級以上の資格が必要です。そのため、整備士業務と自動車検査業務を両方行っている方が多くいます。

教習で学ぶこと

自動車検査員教習では、「道路運送車両法」等の法律に関することから、「自動車検査用機械器具の構造と取り扱い」や「自動車検査の実施方法」というような実務に則したことまで幅広く学びます。どれも自動車検査員の業務上とても重要な知識ですので、しっかりと覚えておく必要があります。

自動車検査員の試験内容と合格率

自動車検査員の試験内容

テスト方式は選択問題と計算問題です。「検査関係科目」と「基礎法令・整備士法令」の科目があります。これらの問題は全て、自動車検査員教習で学ぶ内容から出題され、自動車検査員教習の最終確認試験となっています。

過去の試験問題の事例

それでは、これまでに出題された試験問題の例を紹介します。

問題２　次の1から10について、道路運送車両法及び関係法令等に照らして、適切なものには○を、不適切なものにはを答案用紙に記入しなさい。1.平成25年に製作された総排気量が1.49リットルの内燃機関を原動機とする四輪自動車であって、長さ4.29メートル、幅1.69メートル、高さ1.55メートルの自動車の種別は、普通自動車である。
2.緩衝装置のリーフ・スプリングを取り外して行う整備又は改造は、分解整備に該当する。
3.何人も、自動車の車台番号又は原動機の形式の打刻を塗まつし、その他車台番号又は原動機の形式の識別を困難にするような行為をしてはならない。但し、回送運行のため特に必要な場合その他やむを得ない場合において、国土交通大臣の許可を受けたときは、この限りでない。
4.自動車分解整備事業者が記載する分解整備記録簿には、分解整備を完了した年月日を記載しなければならない。
5.乗車定員２人＋10/1.5人の専ら用事の運送を目的とする自家用の小型自動車の継続検査時における自動車検査賞の有効期間は、２年である。
6.検査表彰は、運転者室又は前面ガラスのない自動車にあっては、自動車の後面に取り付けられた自動車登録番号標又は車両番号標の右上部に見易いように貼り付けることによって表示するものとする。
7.自動車検査証の有効期間の起算日は、当該自動車検査証を交付する日又は当該自動車検査証に有効期間を記入する日とする。ただし、自動車検査証の有効期間が満了する日の１月前（離島（橋又はトンネルによる本土（本州、北海道、四国、九州及び沖縄島をいう。）との間の交通又は移動が不可能な島をいう。）に使用の本拠の位置を有する自動車にあっては、２月前）から当該機関が満了する日までの間に継続検査を行い、当該自動車検査証に有効期間を記入する場合は、当該自動車検査証の有効期間が満了する日の翌日とする。
8.自動車検査証の有効期間が満了する日が平成28年８月21日までの自家用の普通乗用自動車について、自動車の幅の変更のみに係る構造等変更検査を平成28年８月18日に受けた場合、交付される自動車検査証の有効期間が満了する日は平成30年８月17日である。
9.自動車分解整備事業者は、他人に対して法若しくは法に基づく命令若しくは処分に違反する行為（以下「違反行為」という。）をすることを要求し、依頼し、若しくは唆し、又は他人が違反行為をすることを助けないこと。
10.自動車分解整備事業者は、運輸監理部長又は運輸支局長から整備主任者に対し研修を行う旨の通知を受けたときは、自動車分解整備事業者が必要に応じて整備主任者に当該研修を受けさせることができる。
出典：http://www.jaspa-yamagata.or.jp/h28simon_q.pdf

自動車検査員試験の合格率

自動車検査員試験の合格率は都道府県別で発表されており、受験をする都道府県によってもばらつきがあるため、全国の合格率としては非公開となっています。また、受けた年度によっても変動するので、60%くらいの高めの時もあれば、10%前後の非常に低いときもあるようですが、平均的にはかなり合格率は高い方で、国家資格の中では比較的取得しやすい資格であると言えます。
教習中に習ったことをしっかり学習して自分のものにできていれば、十分狙いやすい資格なので、ぜひ取得を目指してみましょう。

整備士と自動車検査員の給与事情

自動車検査員の資格でステップアップ

自動車検査員の資格を持っていると、車検の最終チェックができるような立場になるため、整備士資格のみを持っている整備士よりはかなり給与が高くなります。そもそも、自動車検査員は業務独占資格であり、整備工場は自動車検査員の資格取得者がいないと車の検査や車検を通すという車検場としての業務が法律上できないため、自動車検査員の資格を所有していることによって資格手当てがつくことも多くあります。 自動車検査員は、整備士の方であれば、自分の業務範囲を広げ、ステップアップをしていくために取得を目指していきたい資格の一つです。

整備士からステップアップするなら自動車検査員！

今回は、自動車検査員についてご紹介しましたが、いかがでしょうか。整備士の資格と実務経験が１年以上あれば、十分に狙える国家資格である上、業務独占資格でもあるので、大幅な給料のアップにも繋がる資格であると言えます。車や人の安全を担っている仕事であるため、責任はとても重いですが、とてもやりがいのある仕事ではないでしょうか。
車の整備を行っている方は、自動車検査員の資格を取得して、大きくステップアップしていきましょう！

TOP